まいどです。
今回はウッドターニング用の刃物(ターニングツール、バイト)と、その研ぎに使用するグラインダー(砥石)のお話です。
目次
ウッドターニングに使う刃物ってどんなもの?
「ターニングツール」や「バイト」とも呼ばれるもので、彫刻刀や鑿にも近い形状をしたものが多いです。
ウッドターニングでは刃物と材料が長時間接触し続けるため、刃先はかなり発熱しやすく通常の鋼では数分おきに刃を研ぎ直さなかればなりませんでした。
しかし刃物材料にハイスが使われるようになり、飛躍的に耐久性が向上したのです。
ハイス=ハイスピードスチール=高速度鋼=HSSと呼び名は様々ですが基本的に同じものを指します。この鋼種は熱に強く、高速切削や研磨などで高温になっても軟化しない(焼きが戻らない)という特徴があります。
この優れた特徴により、使用条件によっては一般的な鋼の数倍もの耐久性を発揮できるんです。
また研ぎ直しの際にも、ある程度の発熱は許容されるため乾式の高速グラインダーを利用することが出来、手研磨に比べてはるかに速いスピードで研ぐことが出来ます。特に大きく形を変えたい場合などその差は顕著ですね。
これらのメリットから、現在では世界中ほぼすべてのターニングツールメーカーがハイスを採用しています。
その多くが「M2」や「4241」と呼ばれる普及品のハイスを採用しています。これらの標準的な鋼種であれば各メーカー間で大きな性能の差異はありません。
つまり、
重要なのは、作りたい形に対して適切な形状とサイズの刃物であるか?
ということ。
とはいえ、初めての買い物ではどれを選んだいいか分からないことも多いですよね。なので最初の刃物としてはセット品もアリだと思います。
↓の動画でも少し説明していますので参考にしてみてください
ただしセット商品を選ぶ上で注意したいのは、サイズが極端に小さい(短い)ものは避けた方が無難ということ。
ターニングツールは形状ごとに使いやすい刃長やハンドル長さが異なるので、梱包やケースのサイズありきでセットの中身が同じ長さに揃えられたものなんかは結局使いにくいことが多いです。
このため下にいくつか並べたように、フルサイズのものがお勧めです。ブレードの長さもハンドルの長さもまちまちなのがお分かり頂けるでしょうか。
このようなセット品で基礎を学びながら進めていくうちに、
「大きなうつわものを作るのに、もう少し太くて剛性の高いボウルガウジが欲しいな…」
とか
「細かい装飾を削り出すのにもっと細いスピンドルガウジと幅の狭いスクレーパーが欲しいな…」
とか
「数をこなすのにもっと長く切れる素材のものが欲しいな…」
みたいな感じで欲しいものが出てくると思います。この段階で必要に応じて買い足していくのが、お財布にも優しく失敗が少ないと思いますよ。
ツールを研ぐ道具
手研ぎも不可能ではないですが、研ぎ直しの頻度が多いので凄く大変です。このため電動のグラインダーや水研機などを使用するのが一般的。
最初はこのようなグラインダーと専用の治具をセット使って研ぐのが正確で早いです。
治具を使って正しい形を覚えたら、ゆくゆくはフリーハンドでの研ぎにも挑戦してもらいたいですね。
グラインダーの選び方
砥石の直径150~250mmのグラインダーが最も多く用いられていますが、できればなるべく安定感のある重めのグラインダーがおすすめです。ここで注意したいのはサイズもそうですが、ツールの研ぎ直しには回転速度がスロースピード(ハーフスピード)であるものが圧倒的に使いやすいです。フルスピードのグラインダーだと回転が速すぎて刃先が焼けてしまったり、削りすぎて刃物の寿命をグッと縮めてしまったりすることが起きがちです。
もしノミやカンナも一緒に研ぎたい、というような場合は水研機が便利かもしれません。
砥石は何を選べばいいの?
という質問もよく受けます。
もっとも一般的なのはアルミナ系の砥石。ホワイトアルミナWA、AAなどと表記されることが多いです。
グラインダーを購入すると付属していることも多いこの砥石、ターニングツールの研ぎ直しには最低限問題ない性能でありながら安価なのでこれまで広く使われていたんですが、最近はCBN(Cubic Boron Nitride= 立方晶窒化ホウ素)の砥石がかなり普及してきています。
CBN砥石は価格がやや高価なこと以外、メリットだらけなので是非お勧めしたいですね。
グラインダーと砥石についての詳しい説明についてはこちらの動画も参考にしてみてください。
超硬合金の替刃式刃物
ここ数年、刃先を交換式にすることで「研がなくてもよい刃物」というのが普及してきています。
刃先には超硬合金(=タングステンカーバイド)を使用し、非常に長切れするとされているものです。
実際非常に便利で、切れなくなったら刃先を交換すればいいだけなので刃物を研ぐ環境を用意しづらい方にはメリットも大きいのですが、逆に言えばほとんど研ぐことが出来ないため状況によって刃先の形状を変えたりすることも出来ず、様々なシーンに対応することが難しくなるという側面もあります。
やや限定的な用途ではありますが、場合によっては
こういった超硬のツールも検討に入れてみてもいいかも知れません。
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