刃物と素材について

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まいどです。ナカジマです。

今回はウッドターニング/木工旋盤に使用する刃物の素材についてのお話です。

こちらの記事

でも少し触れていますが、ターニングツールにおいて現在の主流はハイスです。
じゃあハイスって何なのか?どんな種類のハイスなのか?熱処理は?というと答えられる人は結構少ない印象ですね。
使用する道具のことを深く知るのは、モノづくりをする上で重要なことだと思いますし、きっと楽しいですよ。笑

 

鉄?鋼?

まず最初に、刃物の素材には「鋼」が使われますが、鉄と鋼の違いって何なんでしょうか。
業界や用途によって色々定義はあるんですが、基本的には「焼きが入るか、入らないか」の違いだと思って頂いて間違いないでしょう。

鉄は約0.4%以上の炭素を含むと、一定の温度に加熱した後急冷することで硬くなるんです。この処理を「焼入れ」といいます。
鍛冶屋さんが真っ赤に焼けた鋼を水に入れて「ジュ―――!!」ってやるアレですね。

この焼入れをすると硬くなる性質から、鋼は刃物をはじめ様々な工具や構造に用いられるわけです。逆に言うと炭素をほとんど含まない鉄は同じことをしても硬くなりません。

つまり・・・

鋼=炭素を0.4%以上含む=焼入れすると硬くなる

ということですね。

 

ハイスって何?

鉄と鋼の違いが分かったところで、ターニングツールに話を戻しましょう。
ターニングツールに多く採用されてるのはハイス(ハイスピードスチール)、HSS、高速度鋼と呼ばれているものがほとんど。

んじゃハイスって何?ってことなんですが、端的にいうと「すごく熱に強い鋼」です。
一般的な鋼って、200℃くらいになると柔らかくなり始めちゃうんです。これに対してハイスは500℃くらいまでなら硬いままなんですね。

この耐熱性がターニングツールとしてまず大きなメリットになります。グラインダーで研いでいるとツール刃先がすごく熱くなることがありますが、みなさんもツール研いでて刃先がきつね色や青色になっちゃったことありませんか?このとき刃先は300℃を超えてる温度になってることもしばしば。

こうなると普通の鋼では軟化してしまって、刃物としての性能を大きく損なってしまうことに。
これがハイスだと軟化せずに耐えられるので、研ぎにグラインダーが使える=スピーディーに研ぎ直せるというわけです。

さらに木を削っているときにも、刃先はワークに擦り付けられている状態が続くことになるので摩擦でかなり発熱します。
この発熱も相手が木だからと言ってバカには出来ない温度になるんですね。特にカリカリに乾いた堅木なんかが相手だとその傾向は顕著。

こういった高温に対する特性の他、ハイスそのものが一般的な鋼に比べて硬く摩耗に強いという特性もツールとしての性能に寄与しています。

 

ハイスのあれこれ

ハイスと呼ばれるものにもいろいろ種類があるんですが、現行のターニングツールに使われてる鋼材で圧倒的に多いのは「M2」(=SKH51)という種類のもの。
バランスの良い性能で、ドリルやエンドミルといった機械刃物などにも広く用いられています。

M2というのはAISI(アメリカ鉄鋼協会)の規格なので、日本で採用されているJIS規格だと「SKH51相当」ということになります。
ちなみに「SKH」というのはJIS内で高速度鋼を示す分類で、「SKH57」や「SKH59」というように組成ごとに色々な種類が存在します。

M2が広く採用されているのは耐摩耗性、靭性(粘り強さ)、硬度のバランスが良く汎用性が高いためで、流通量が多いので価格が安めという事情もあります。
実際、適切に熱処理(焼入れなど)されていればターニングツールとして十分な性能を発揮してくれます。

先ほどハイスには種類があると書きましたが、M2の次にターニングツールに使われているであろう鋼種がM42(=SKH59)だと思います。
こちらはM2に比べて硬さを上げながら、比較的粘り強さも出るよう調整されています。ただしコバルトを多く添加しているので鋼材として結構高価です。だいたい倍以上します。いくつかの有名メーカーでも採用されており、評判も上々のようです。

 

粉末ハイス

上記のM2などのように、これまで一般的な鋼材の精錬というのは鉄と添加元素を炉の中で熔かし合わせて行うものだったのですが、粉末冶金(ふんまつやきん)という方法でそれまで実現できなかった組成を実現させた鋼材が登場してきたんです。

簡単に言うと超微粉末にした金属材料を混ぜ合わせて高温高圧で焼結する技術なんですけどね。これにより鋼材としての性能が飛躍的に向上し、様々な分野で使われるようになりました。特にハイスの分野で粉末冶金によって作られたものは粉末ハイスという言われ方をします。

ターニングツールでも下記のように採用されてる製品がいくつかありますのでちょっとご紹介。

 

「ASP2030」Hamlet社が高級ラインのツールに採用した粉末ハイス。バランスのいい性能で、当のツールの評判も悪くない様子。

「CPM10V」ターニングツールのパイオニア、ジェリー・グレーザーが採用したことで知られる超高バナジウム鋼。バナジウム炭化物というのは鉄ベースの複炭化物としては最硬度を誇るんですねー。このため刃物にするとズバ抜けた耐摩耗性を発揮します。代わりにちょっと靭性が損なわれてしまう側面も。

「HAP40」 タングステン、コバルト、モリブデン、バナジウムなどをバランスよく添加した日立金属の汎用粉末ハイス。基本的に粉末ハイスって熔製ハイスの何倍も高価なんですが、その中でもHAP40(JIS=SKH40)は比較的流通量も多くこなれた価格ではあります。ナカジマが作っているツールもこのHAP40を採用してます。カリッと硬めで玄人好み・・・とお褒め頂いてます。笑

 

実際の性能は・・・

ここで少し注意したいのが、メーカーの売り文句だと普及品の3倍とか4倍とか5倍も長切れするみたいなことが言われてたりすることなんですが、木工旋盤用の刃物としては体感として1.5~2倍程度だと思います。なのであまり過度の期待は禁物です。笑

これは鋼材の総合的な耐摩耗性と、炭化物の分布と脱落、素地の摩耗、木材の内包シリカや樹液、連続切削における刃先の状況なんかの要素が複雑に絡み合うので一言で説明するのは難しいんですけど、結構な数のツールを実際に使ってきての感想です。

とはいえ特に硬い材や、時間内に数をこなしたいプロの場合なんかは高級ツールにそれなりのメリットがあるのも事実。
価格もそこそこするものが多いですが、今のツールに不満が出てきているなら使ってみて損はないでしょう。

 

 

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